中世フランスの哲学者デカルトは、心が脳にあり、脳の松果体の中で脳とは独立した働きをしていると考えた。松果体の中に操縦席のようなものがあり、そこで小人が独自に思考し、操作しているイメージを自説として残している。しかし、この考え方では、小人の思考は小人の脳内で更に小さな存在が思考し操作、その小さな存在の思考は、脳内の更に小さな存在が…と、無限ループに陥ってしまう。
時が流れて、近代。人が何かをしようとするとき、その直前に補足運動野から脳波が出ていることがわかったが、実はその7秒前にBA10という別の部位から脳波が出ていることが発見される。そしてそのBA10が反応する前に…。科学が発達した現在においても、別の形でホムンクルス問題に陥っているのである。