正直申し上げると、撮影中断を余儀なくされてから、作品のテーマは微妙に変化していきました。
主人公・桐生克彦は、様々な岐路に立たされ続けることになります。人類が大きな脅威に晒されていると感じたとき、大切な人が病に侵されていると知ったとき、尊敬する人が遺したものを受け取ったとき、そして自分が最期を迎えるとき…。
そのたびに彼は考えます。
「今、自分は何をなすべきか」
いま、私たちに必要なものも、また、溢れる情報に惑わされず、「自ら考え」、「自ら生きる」力だと思われます。
年代問わず、多すぎる選択肢に飲み込まれそうになっている人、選択自体が面倒だと感じている人、自ら考えることを諦め漠然とした不安を抱えている人々にごらんいただき、「それでも」と立ち上がる力にしていただけたら、これ以上嬉しいことはありません。
たとえ「すべてが終わった後でなければ梟は飛び立たない」としても。